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Cornelius(小山田圭吾さん)と対談させていただきました。V0l 2

「楽器の色が見えない方が良いときがある」

堂森:
私は小山田さんのギターも好きで、今回も要望に「ギターの音を入れてください」と伝えたのですが、楽器の選択は何か基準みたいなものがありますか?

小山田さん:
うーん。そもそも楽器の色が見えてない方がいいなって思う時はあるんですけどね。演奏している姿があまり思い浮かばない方が合う映像というか 。実際に音を出している人を想像しない、想像できないような世界観はあるなって思って 。そういう場合はなるべく電子楽器を使いがちというか・・・・

堂森:
あーあ。なるほど。

小山田さん:
基本的に僕は、使う音色ってそんなにたくさんは無いんです。お題によって何か新しい音を使ったりすることはありますが。

堂森:
私にとってCornelius(コーネリアス)=バンドと感じていて、その中で小山田さんはギターを弾いているので、ギターを入れて欲しいという要望を入れていました。改めて小山田さんにとってCornelius(コーネリアス)って何なのでしょう。

小山田さん:
曖昧ですけど、バンドといえばバンドというか、まあ 僕が 中心として関わっているんですが、ライブの時はバンドのメンバーがいたり、ライブスタッフも含めて、Cornelius(コーネリアス)というプロジェクトみたいなところもあって。レコーディングだったらエンジニアをやってくれている美島さんとか、高山さんも制作に関わっていますし、僕自身、個人がやっているという感じもあまりしてないのです。

堂森:
ああ、Cornelius(コーネリアス)=小山田さん個人ではないってことですね。

小山田さん:
そう。Cornelius(コーネリアス)は、プロジェクトみたいなものですね。ただ、海外に行くと、(僕、個人を指して)コーネリアスって呼ばれますね。日本では流石に僕をコーネリアスと呼ぶ人はいないけれど。笑

堂森:
「Cornelius(コーネリアス)=小山田さんを中心としたプロジェクト」と考えたら、全てが理解できます。Cornelius(コーネリアス)=バンドだけだったら楽器、その演奏を構成する人が浮かびますが、今回のブランドムービーのような場合は、楽器や演奏者が浮かばない方が確かに良いですね。次回からは、「ギターの音を入れてください」っていう要望は止めます。笑。

「通常の曲作りと依頼された仕事との違い」

堂森:
ところで、通常の曲作り依頼された仕事の違いはありますか?

小山田さん:
依頼された仕事は、最初にお題があるので、それに対してどう答えるかみたいなことなんですけど、自分の作品の場合はお題を自分で出さなきゃいけないので、その点が大きく違いますね。 作業自体は、 事務所の上(スタジオ)でずっとひたすらやるので全く一緒ですけど。

堂森:
通常の曲作りの場合は、お題ってアルバム単位で、できるものですか?

小山田さん:
いやいや、曲ですよね。どういう曲にしようかなっていうお題。そのお題を自分でつくるのか、相手がつくったもので曲を考えるかの違いはあります。

堂森:
逆に、お題が決まれば、通常の曲作りも依頼された仕事も、曲作りのプロセスは、それほど違いは無いということでしょうか。

小山田さん:
そうですね。 お題があれば、それに答えるということなので、やりづらいってことはないんですけど、ただ、いろんな人の意見がまとまらないまま依頼されると、結局こっちが 答えても、その正解にたどり着かないことはあって。その状況によってはやりづらいものもあるかもしれませんね。

堂森:
当社のムービーの曲作りは大丈夫でしたか? やりづらくなかったですか。

小山田さん:
全然、大丈夫です。自由にやらせてもらっています。

堂森:
そう言ってもらえると救われます。そもそも、我々はCornelius(コーネリアス)の音を期待していますから、いただいた楽曲が根本的に違うということは考えにくいです。今回のようにさらに理想に近づけるために要望は伝えたとしても。

小山田さん:
そのような形で、依頼があるものは大丈夫です。最近は無いけれど、昔は依頼された仕事が難しいと思うことはありました。特にTVCM。現場が全部OKでも上層部で全部やり直しという経験もありましたし。完成に近づいてからのやり直しは厳しいものがありますね。

堂森:
小山田さんのようなレベルの話ではないですが、我々も企業さんからの依頼で動画制作やTVCMの制作に携わることもありますが、こちらの企画や内容を評価いただいての仕事と、そうでないものは、同じやり直しでも全く違うものですね。

「曲作りにおけるCDとサブスクの違い」

堂森:
ちょっとメディアのことも質問したいのですが、メディアによって曲作りの違いはありますか。昔ならレコード、カセット、DAT、CD、DVDとか最近では、サブスクやハイレゾとか。

小山田さん:
楽曲に関してはそんなに無いですが、アルバム単位で考えると、今は、サブスクだから大きな違いがありますね。 僕はCD世代というか 最初デビューした時からCDがあって、それメインでずっとやってきていたので、 そのアルバムとなると 例えばもう最初から最後までCDプレーヤーに入れて聴いていましたので、アルバムの曲を全部シームレスに繋げたりする作り方をしたりとか、収録の分数(ふんすう)も意識していました。

特にFANTASMA(ファンタズマ)は、全部、繋がっているので、それをサブスクで聞くとぶつ切りになっちゃうし、コンセプトも伝わりにくいっていうか。 POINT(ポイント)もそういう作り方をしていたのですが SENSUOUS(センシュアス)以降は シームレスに繋ぐというのはやめました。

堂森:
確かにCDとサブスクでは、聞き方も違いますね。

小山田さん:
90年代 はやっぱりCDということをすごく考えながら作っていたし、そのCDというメディアでしか出来ないようなこともやってみたいなと思っていました。 例えば、隠しトラックを入れたりとか。サブスクでは隠しとか何もないけど、それはCDというメディアじゃないとできないことだったし。そういった考えは、時代と共に多少は変わって来てるんじゃないのかな。

「映像と音がひとつであること」

堂森:
LIVEを見ても、いつも感じることなのですがコーネリアスというと本映像と音が一体化した空間音楽みたいな形だと思うんですけど、いつ頃からですか?

小山田さん:
本格的にやり始めたのはFANTASMA(ファンタズマ)ですね。69/96のときも少しチャレンジしていたけど 映像とシンクロして 全部映像付けてみたいなのは ファンタズ
マからです。

堂森:
それは何かきっかけというかあったのでしょうか?

小山田さん:
元々映像に興味あって。 最初は映像も自分で作っていたんですよ。

堂森:
映像も?そうなんですか?

小山田さん:
そうなんです。まあ元から映像好きで、面白い映像のコレクションはしていました。YouTubeとか全然無い時代なので特に。映画とか音楽もののビデオとか、実験映画とか実験映像なども興味があって VHSのビデオとかたくさん 集めていました。

堂森:
小山田さんの映像と音楽の源泉はその頃に培われたものなのですね。

小山田さん:
まあ、堂森さんも同世代ですから、一緒だと思うんですけど、我々は、テレビっ子、テレビ世代じゃないですか。だから映像とともに音楽が入ってくるのは自然な感覚ですよね。

堂森:
ああ、確かに。

小山田さん:
特に小さい頃って ウルトラマンとか仮面ライダーとかTVCMの音楽はその映像と一緒じゃないですか。 僕らの世代って子供が多かったし、子供番組がめちゃくちゃ多かった。そういう世代だったからゴールデンタイム全部子供向けのテレビ番組ばっかりだった。

その影響もあってか、ヒーロー特撮とか凄く好きで。 それに、当時の子供番組は、大人が真剣に作っているから 今にして思うと、凄いですよね。だから、音楽だけ聞くっていうよりも テレビから流れる映像と音楽を一緒に聞いていたっていうのが原体験としてあったことも影響していると思います。

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【NAKED CLUE】In a Blink of an eye(Music:Cornelius)

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