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Cornelius(小山田圭吾さん)と対談させていただきました。V0l 4

「クリエイターとの共作」

堂森:
クリエイターとの共作って例えば、中村勇吾さんとのオーディオアーキテクチャが印象に残っていますが、クリエイターとの共作で、自分の曲にしていく流れは、珍しいのかなと思っていたんですけど、その話をお聞かせいただけますか。

小山田さん:
Audio Architecture(オーディオアーキテクチャ)はちょっと珍しいパターンで、勇吾さんが企画した「AUDIO ARCHITECTURE:音のアーキテクチャ展」という展覧会があって、そのために作った曲です。あの曲に9人の作家が映像をつけてくれて、それを見ることができる展示でした。今ライブで使用している映像は大西景太さんが作ったものです。

堂森:
クリエイターとの共作は普段自分たちだけで制作しているのとは違う要素がありますか。

小山田さん:
うん、そうですね、テーマが先にあるので。今、話をした勇吾さんの企画は、オーディオアーキテクチャがあって、そのテーマで 曲を作りましたから。結果的に、とても良い曲になったので、ライブでも演奏していますし、「サウナ好きすぎ」もそうですね。タナカカツキさんの「サ道」というドラマがあって、それの主題歌ということで作ったんですけどこの曲もライブで演奏していますね。

堂森:
なぜこのような話をしたかと言うと、私自身が地方出身者で、ずっと前から地方にいるクリエイターと一緒に仕事をしていて。カメラマンとは、私が担当したクライアントの映像や写真のほとんどに絡んでくれて、今回の映像企画・演出家も何度か仕事をしていて、いつも良い仕事をしてくれるし、地方にいるクリエイターと小山田さんのようなアーティストと一緒にしたらどんな化学反応を起こすのだろうというのは、 実は10年ぐらい前から構想にありました。

小山田さん:
うんうん。ああ、そうですか。

堂森:
はい。だから、それも実現できて良かったと思っています。前回と今回は、カメラマンは同じ、映像の企画・演出は違う人ですが。みんな地方にいて、もちろん東京や関西でも仕事しますが、長年、頑張っています。やっぱり刺激があるんですよね、小山田さんとの仕事は。

小山田さん:
それは良かったです。 みなさん、どこに住んでいるんですか?

堂森:
カメラマンは僕と同郷で福井県大野市に住んで、彼は福井に事務所を構えています。今回の映像の企画・演出は、石川県金沢市。前回の映像企画・演出も金沢市ですね。今後も地方で活躍するクリエイターと小山田さんと仕事をしてもらって良いものをつくっていきたいと思っていますが、いかがでしょうか。

小山田さん:
もちろん、機会があればやりたいと思っていますよ。

堂森:
ありがとうございます。 そう言ってもらえると嬉しいです。私は地方から出てきて、こちらにいますので、そういった境遇だからこそできることをやりたい。今回、携わってくれたクリエイターと小山田さんとのこういった関係づくりもそのひとつなので、小山田さんにそう言ってもらえることは、やりがいにもつながります。

小山田さん:
良かったです。ありがとうございます。

堂森:
地方出身者には、粘り強さや忍耐力がある人が多い。自然の厳しさも知っていますし、自分たちではどうにもできないものとの共存力もある。彼らの力にもなりたいと思います。

堂森:
小山田さん、甘いものは召し上がりますか?  これ、うちの会社の社印が押されたどら焼きなんです。朝、一番でつくってもらって持参しました。

小山田さん:
凄い。ああ、ありがとうございます。はい、いただきます。


「改めて今回のムービーを見直して」

(小山田さんと今回制作のブランドムービーを再度、一緒に見ながら)

小山田さん:
(映像を見ながら)あっ、これが、さっき言っていた二重スリット?(しばらくして)あっ、これが粒子?

堂森:
はい、そうです。でも、改めてこうやって見ると、やっぱりいいですね。不思議なのは、何回、聞いても同じように聞こえない。一度、耳にした時とは違う音が聞こえてきたり、何か違う音が浮かび上がってきたりします。とても不思議でいて、浮かび上がる空間が素晴らしいです。そこに様々な故郷の音、大地の音、呼吸、鼓動が重なり合って重層的。共振・共鳴している。

映像は、自然の要素に音をつけているのに、その音自身が本来の自然の中に戻っていくような感じがする。我々は地方出身だからそういった自然の音と共に生活をしてきていますが、故郷の全てがここにある。構造的で、直線的ではなく、複数の時間が走り、円環的。詩的で余白があり、終わりがない。余韻がいつまでも残る。あっ、最後のロゴ登場まで音をつけてくれてありがとうございます。

小山田さん:
いえいえ。

堂森:
実家にいる母も、とても気に入ってくれて。毎朝、(このムービーを)見ているって。小山田さんの音楽を耳にすると、生きる力が湧いてくるって喜んでいます。

小山田さん:
それは良かった。

堂森:
(映像を見続けながら)なんかこう呼吸音とか風の音との重なりとか、そんなのもすごいよく感じが出ていますね。

小山田さん:
うん、何かこう動きがあるところに音をはめてくみたいな感じで作っているので、風の感じはパッドとフィルターでちょっとこう、動きが大きくなったらフィルターを開いて動きが弱くなったらフィルターを閉じてみたいな 風に、あのQuickTimeの画面見ながら、音をつけていっています。

Movie_Insight(2022年制作)

堂森:
せっかくなので、2年前に制作いただいたMovieも見てください。2022年。もう憶えていらっしゃらないかもしれませんが。

小山田さん:
大体、憶えているものですよ。自分がつくっていますからね。記憶が薄れていても、見れば思い出します。

堂森:
このMovie_Insightは、当社の根幹となる「インサイト」。当社は「インサイト」を発見して、戦略に組み込んでいく仕事ですが、そのインサイトが流行り言葉のようになっていて、なんだかわからなくなっていたので、一旦、言葉を離れて、抽象化して感じ取ってもらおうとして制作したものです。創業10年目でもありましたし。

この時は、本来、先に映像をつくらないといけない所を、無理言って、小山田さんに先に曲をつくってもらいました。そして最後にまた、映像に合わせてもらったという手間をかけてもらったものです。

小山田さん:
このMovieは今回のものと同じスタッフ?

堂森:
カメラマンは同じですが、他は違います。

小山田さん:
ああ、そうか。CGも入っているからね。

堂森:
この雲も、故郷のものです。この映像の音楽もそうですが、最後の「INSIGHT」の光にも全部、音が入っていて。この動きも全部、音にするのかと驚きました。小山田さんには当たり前のことかもしれませんが。

小山田さん:
これも映像を見ながら、音をつけているから。全部。

堂森:
僕は、Corneliusの「未来の人へ」が大好きで。あのリズムの交差やアクセントのずれというか。4拍子なのに3拍子に感じられたり、その拍子がわからないような世界が良くて。16分音符のアクセントが変化していく様が、心地よいというか。

小山田さん:
このMovieのリズムは3連符のアクセント、タンタタン、123、123 未来の人にも両方取れるんですけどね。3でも取れるし。

堂森:
アクセントの位置でこんなに変わってくるのかと。そもそも、時間って僕は単一のものではなく、複数で様々な時間があると思っていて。空間にも二次元も三次元も(四次元も)あるように。それを全部、音で表現してもらって、このMovieの音も本当に好きです。

小山田さん:
あの拍も普通に呼んでとりながら、ま、ポリリズムみたいな感じで。その 1つの拍の取り方だけじゃなくて色んな拍の取り方で入れているので 両方取れるみたいな構造になっていますね。別の時間軸が1つの時間軸の中にあるみたいな聴き方ができるように音を作っています。

堂森:
こちらが表現して欲しかったことを汲んでもらえて、本当に嬉しいです。このMovieで小山田さんと初めてご一緒したのですが、1回だけで終わるのはなんだか勿体ないなと思って。 今回のブランドムービーができて良かったです。

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【MOVIE】NAKED CLUE(INSIGHT)_Music:Cornelius

【NAKED CLUE】In a Blink of an eye(Music:Cornelius)